日記

2024-01-06 16:00:00

見えない境界線

能登半島震災で被害に遭われた全ての方々に

謹んでお見舞い申し上げます。

 

お正月、ましてや一月一日は

穏やかな晴れの日で

たとえ前日とんでもない嵐でも

一月一日は穏やかに晴れている。

日本はそんな国だと、それが当たり前だと思っていました。

 

未だ先の見えない不安の中で

「自分たちに出来る事」を探して

川やプールの水を浄化して何度でも繰り返し使えるお風呂のシステムを引っ提げて

被災地に向かった大阪のあんちゃん達や

野菜や肉を持ち寄って暖かい豚汁を作る有志の方々が居る一方、

避難所の自販機を壊して飲み物と金銭を奪ったり

偽の情報で救護の邪魔をしたりSNSで悪意のある偽情報をたれ流したりと

その境界線はどこにあるのかと思います。

 

地震の衝撃も冷めやらぬ中、羽田空港でのJAL機と海上保安機が衝突しての両機炎上。

 

衝突から炎上する機体から18分間で全員避難できたことは「奇跡」だと

特に海外メディアが称賛されていますが、

JALの乗組員の皆様のプロフェッショナルな対応と

荷物を持とうとした乗客に「荷物を持たないで!」と叫びCAに協力する乗客。

パニックコントロールは1つ間違えると大惨事になる中、

よくぞ成し遂げてくださった。

日本人としてとても誇りに思うし、自身の襟を正す契機も与えてくれました。

 

機長は全ての乗客が避難した後機体をまわり取り残された人は居ないか確認後

最後に機体を後にしたとの事。

 

「奇跡ではなく日頃の保安要員としての訓練からして必然だった」

とおっしゃっているJALの元CAの方のインタビューを拝見しながら

今までのJALの苦難の歴史を思い起こしていました。

JALもANAも創業以来

多くの人命が失われる事故を何度か経験してきました。

特にJALは2010年に経営破綻し、

コロナ禍の中では航空業界も非常に厳しい状態でしたね。

その中でも

過去苦い事故を経験し悔しい思いを経てきたからこそ

空の安全を守るための機体整備や訓練は決して蔑ろにせず

粛々と行われていたからこその

当事者から見ると「当たり前」、でも外から見ると「奇跡」のような今回の全員救出に繋がったのだと思います。

 

事故当時、付近にいたANAのスタッフも

避難誘導や近くにいたANA小型機のトイレを貸したりと乗客のケアに努めていたとの事。

 

こういうことがあると

航空業界に勤務している方々のプライドを感じずにはいられません。

 

いざという時、人の真価が問われるのはそういう時。

見えない境界線のどちらにいるかは

それまでどんな環境で、どんな経験をしてきたかですよね。

 

震災前に和菓子の本を読んでいて、

丁度金沢の伝統菓子「五色生菓子」がでてきたところだったので

驚きました。

「五色生菓子」は

赤(=太陽、日の出)、白(=月)、黄(=稲穂で豊穣、里を表す)、緑(=あお、海を表す)、茶(=大地、山を表す)

で天地の恵みを表す5つで構成された祝菓子で慶事には太陽に対して陰となす月(白)を外して贈ることもあるそうです。

 

北陸に根づいた豊かな文化。

 

和菓子の世界で秋冬に使う「緑」は松や竹など、冬中ずっと緑色をしている植物の表現になり

寒さに負けない永遠を寿ぐモチーフなのだそうです。

もっと季節が進めば白と合わせて雪の中から顔を出す新芽のイメージになるのだとか。

 

 自然は私達に豊かな恵みを齎してくれるけれども、時に容赦なく残酷に襲いかかる。

 

どうか皆様、ご無事で。