日記

2025-03-09 13:00:00

我々の願いはただひとつ「生きること」

今日は春らしい陽気の一日で、

「冬来たりならば春遠からじ」

という私の大好きな言葉が思わず口をつきます。

 

トランプ大統領がプーチン大統領への信頼を明確にし

ウクライナとロシアの戦局が新たな局面を迎えている今、

そして、

オウム真理教による地下鉄サリン事件発生から30年を迎えようとしている今、

NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」で

第二次世界大戦中の独ソ戦を扱い

「プロジェクトX」では地下鉄サリン事件を扱っていて

NHKの気概を感じました。

本来のジャーナリズムとは、

こうやって私達に問いかけるものであると私は思っています。

 

独ソ戦でソ連が勝利しましたが

この戦争での死者はドイツ700万人、ソ連2700万人。

ソ連では国民の10%以上が亡くなったそうです。

独ソ戦はナチスドイツの攻撃から始まった理不尽きわまりないもので

当初劣勢だったソ連が多くの犠牲を出しながらの決死の戦いで勝利し

最後にはベルリンを一斉攻撃し勝利しますが

その際に兵士たちが叫んだ「ベルリンへ!ベルリンへ!」と

勝利後国会議事堂に書き残した

「覚えておけ、忘れるな。我々はもう一度同じことがやれる」

という80年前のこれらの言葉が 今ロシアで復活し、

独ソ戦の勝利は「国家の誇りを取り戻した」象徴的な戦いとして

再評価され戦争の記憶が美化されているそうです。

「映像の世紀」の番組の中では

2020年これらの言葉について語るプーチンの映像も流れ

「我々はまたできるのでしょうか?」という問いに対し

「見方による」という前置きをおきながらも

「私達は2700万人を失った。同じような損失を被った国は他にはありません。

誰かが同じような事をする勇気があるなら、我々は再びそれを実行するでしょう」と言う。

 

 番組の最後にソ連軍の捕虜となり、今ベルリンのカイザー・ビィル・ヘルム協会に展示されている

「塹壕のマドンナ」(スタンリングラードの聖母)の作者、

ドイツ軍医、クルト・ロイバーが

収容所で病死する前に家族に送った最後の手紙が紹介されていました。

 

「我々はみな平和を願い平和に憧れているが

実際には何を望んでいるのだろうか。

今なお武器をとって敵を倒すことだけが

自分の主張を貫くための手段だと考えている人ばかりだ。

もう次の戦争のことを考えてでもいるのだろうか。

我々はみな、将来は良心の声に従って生きるのだろうか。

もし、前と変わらぬまま

心の奥底に何の変化もないままなら

我々はこれほどまで深刻な体験をしたにもかかわらず

もはや人として生きるのは値しないだろう」

 

クルト・ロイバーが塹壕から家族に送った手紙の中に書かれた言葉

「我々の願いは1つだけ。「生きること」、生き延びることだけだ」

 

彼は父であり、夫であり、そして息子であり、

誰かを愛する、そして誰かに愛される人だったのです。

 

私達の国は今戦下にありませんが、

様々な理不尽なこと、様々な暴力、

言葉の暴力や嫌がらせやいじめで

生きることを諦めてしまう人がいる。

「助けて」と言えずに諦める人がいる。

人が生きることを「奪う」人がいる。

 

だからこそ忘れてはいけないと思うのです。

「我々の願いは1つだけ。「生きること」、生き延びることだけだ」

ということを。

その願いのために私達は頑張ってきたのだということを。

私達の親たちは私達を生かすために頑張ってきたということを。

だからこそ、誰も、貴方自身も

貴方の「生きる権利」を奪ってはならないということを。